特別寄稿 内部監査のリバランス
―US Post-SOX Surveyからの考察
株式会社プロティビティジャパン マネジング・ディレクタ
公認内部監査人(CIA) 内部統制評価指導士(CCSA)
米国公認会計士(USCPA)
谷口 靖美
[1] はじめに
多くの3月決算の上場企業は、内部統制報告制度(以下「J-SOX」)への1年目の対応を終了し、ほっとしていることと思われる。しかし、内部統制評価報告は、1年で終わりではなく毎年続くのである。J-SOX対応では多くの内部監査組織が内部統制評価に関与したことは想像に難くない。整備状況と運用状況の評価を担当したり、プロジェクトそのものをリードしたり、重要な役割を果たしている。内部監査部門がその多くの時間をJ-SOX対応にとられ、本来の内部監査業務に資源を配分できなかったところも多い。その一方で、会社法の要請、昨今の急激な経営環境の変化を受け、リスクマネジメントなどの必要性から、内部監査への期待とプレッシャーはなお一層高まっている。そこで今後も続く内部統制評価報告を効果的に実施しながらも、伝統的な内部監査の分野に、更に組織内のより広い範囲及びより重要なリスクに目を向けていくことが喫緊の課題となっている。
日本より数年先に内部統制報告制度を導入した米国においては、米国企業改革法(以下「SOX法」)404条対応は、米国の内部監査業務に大きな影響を与えた。初年度対応を終え、内部監査の職務が本来の職務から離れバランスが悪くなったと強く懸念する内部監査人の声が多く聞かれた。実際、リスクが高い分野が認知されてもSOX法対応に時間がとられ、当該監査が中止や延期になったケースもよく見られた。内部監査の評価すべき対象は財務報告の信頼性だけでなく、業務の有効性や効率性と関連法規の遵守を含めた組織目的の全領域にわたるリスクであるとの認識から、SOX法の初年度対応後に「内部監査のリバランス」と呼ばれる動きが米国では議論され進められてきた。
Protivitiでは、2005年秋と2006年末〜2007年初旬、そして2008年1〜2月と3回にわたって内部監査のリバランスに関するサーベイを実施している。内部統制報告制度を先に導入した米国において、その後内部監査がどのような考え方や取り組みを展開したかを知ることは、日本においてもJ-SOX対応1年目を終えた内部監査組織にとって今後何を課題認識し、何をなすべきかのヒントになるのではないかと、今回この調査結果を紹介することとした。今後の内部監査の取り組みや、J-SOX対応の効率化の参考になれば幸いである。
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