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内部監査にどの位お金をかければ充分か
―監査の投資効果の最大化をいかにして図るか―

会社のアカウンタビリテイ、財務報告の正確性と透明性、企業倫理の実践等の要請が強まる環境下で、企業はかつてないほど内部統制・リスクマネジメント・ガ バナンスプロセスの最適化を計ろうとしている。数々の新しい法規制は内部監査機能の強化(あるいは新しく構築)を加速させている。これは論議するまでもな いが、内部監査のための資源配分の適正な水準、即ち内部監査にどの位お金をかければよいかという問題を提起している。精密なガイドラインがないため経営者 や監査委員会は内部監査への合理的な費用のかけかたに頭を悩ませている。同業他社と同程度の費用を使っているか、事業規模が決定要因となるのか、もし競合 他社と比べて少ない費用であれば優位な立場にたてるか、または不利なのか、もっと費用を増やせばどうなるか。

内部監査は投資のひとつであり、単なるコストではない

この問題を検討したり比較をおこなう前に、まず自らの会社の組織の内部を見渡し、内部監査に使われている費用実態をみることが必要である。人件費(含む福 利厚生費)、旅費、IT費用、アウトソーシング費用、共通費配賦を含んだ内部監査トータル費用の把握が大切である。内部監査を評価するとき内部監査に使わ れる費用を単なるコストとしてではなく、投資としてみてみる。いかなる投資に対しても評価可能なリターンが求められる。使った費用に対してどれだけの費用 を節約したか、内部監査の努力の結果どのような問題が回避できたか、内部監査チームの認知された価値はなにか、監査委員会・経営者・被監査部門は内部監査 に満足しているか。内部監査のROI(投資対効果)はリーズナブルか。評価すべき他の要因はないか。

内部監査への投資が適切なレベルにあるかどうかを決めるには他の会社の水準と比較するのも一助となる。内部監査業務をベンチマーキングするのに数種類の最近の調査がある。 最も大きな調査はIIAで開発されたデータベースであるGAIN(Global Auditing Information Network)である。このツールは産業別、監査委員会の構成別、内部監査人の 経験別、監査サイクル等の要因が考慮されている。 GAINは監査機能を全企業、特定の産業別の両面からベンチマーキングするのに助けとなる。加えて経営者や監査委員会のメンバーと内部監査部門の規模、コスト、経験年次等 について論議するためのデータを提供する。 製造業、銀行業、ヘルスケアー等、特定の産業についての内部監査費用の産業別調査も行われている。(www.gain2.org参照のこと)

(例)売上規模別平均監査コスト

売上規模
会社数
平均売上高
(a)
平均内部
監査費用(b)
b/a
(%)
平均外部
監査費用(c)
c/a
(%)
$300M未満
154
141 百万$
286 千$
0.20
117 千$
0.08
$300M―$700M
110
464
514
0.11
219
0.05
$700M―$1B
33
814
596
0.07
447
0.05
$1B―$5B
286
2,256
1,341
0.06
774
0.03
$5B―$10B
98
7,046
3,529
0.05
2,133
0.03
$10B―$30B
98
17,970
6,847
0.04
3,727
0.02
$30B超
33
64,652
20,317
0.03
7,554
0.01

Source: IIA Global Auditing Information Network (GAIN) 12/16/2002

内部監査費用は個々に適したものであるべき

GAINの情報は諸々の角度から眺めなければならない。現状の評価に基づく経験的データを持つことは助けにはなるが平均値がミスリードすることが あることを忘れてはならない。加えてこのような調査は単に現状を示しているが、どうあるべきかを示してはいない。単純な比較をするのは軽率である。類似す る会社と同等の監査費用を使うことにすることで充分か。調査は多面的な要素の中のわずか一面的な部分を表しているのであって、他社に正しいことが自社に正 しくないこともある。内部監査のコスト、投資は会社の状況を反映したものであるべきである。

比較を行う場合は、拠点数、会社の成熟度、会社特有のリスク、事業部門数、経営品質等の要因を考慮すべきである。追加的な要因として、内部監査部門が直面 する目標を特定することが役に立つのは疑いもない。類似する会社であってもそれぞれの会社にそれぞれのニーズがあり目標達成やリスクの有効な管理を支援す る内部監査への投資もそれぞれの違った水準が要求される。

不動産評価のアプローチの活用

会社の特性により内部監査への支出についてどのように追加・削減を図るか決定する。例えば、不動産評価人の“類似資産”アプローチを応用して会社 の置かれている環境と他社の置かれている環境をより正確に比較することができる。類似会社から3-4社を選び、次に他社と違って留意を要する次のような要 因を加味して自社の内部監査資源を決める。

海外展開 ビジネスプロセスの成熟度
拠点数 監査範囲
業務の集中度 事業変革の程度
統制環境 リスクに対する許容度

業務の分散化がなされている会社は業務の集中度が高い会社よりも多くの監査資源を要する。数ヵ年にわたり事業部門が内部プロセスを改善し最適化し ている会社はその時々のプロセスまたは新しい管理体制に依存している会社よりも監査資源は少なくて済む。あまり費用をかけなくてすむ領域やより多く費用を かけなくてはならない分野を考慮にいれ、会社の状況により適した投資レベルを導きだすべきである。

最近の新しい環境

上記の検討にあったてはSarbanes Oxley Act (SOA -米国企業改革法)や新しいSECルール等の最近の法規制の動向も考慮にいれなければならない。これらは監査プロフェショナルにとって新規の分 野であり、これらの変更はより多くの監査投資を必要とし、内部監査計画により難しいアプローチを求めている。内部監査への資源配分と投資のサイズを決める には“デイスクロージャのための統制と手続“や”財務報告に関する内部統制についての経営者による四半期毎ならびに年次報告と意見表明“(いずれもSOA の新しい規定)の実施をサポートするのに何が必要かを決めなければならない。

将来も見据えなければならない。会社の成長に合わせて、内部 監査プロセスは拡大したり、レベレッジを効かせたりすることができるか。現存の統制は将来も適切でありえるか。 組織の長期的・短期的変更も検討しなけれ ばならないか。COSOの業務の有効性と効率性・財務報告の信頼性・法規の遵守に関する提言は内部監査投資への推進力となっているか。これらのすべての要 因は会社が採用すべき監査組織の規模に影響を与える可能性がある。

内部監査は変動コストであるべきか

内部監査費用を会社の特性に見合うようにすることは大きな前進であるがこれだけで全部を物語れない。なぜならばビジネスが経験するリスクは静態的 なものではなく動態的であり迅速で柔軟な内部監査機能を要求する。今日的なダイナミックな要請に歩調を合わせて内部監査はより変動的なコストであるべきと 考える。不幸にしてこの考え方は大多数の内部監査機能の管理や資源配分の現状とは食い違っている。新規ソフトウエアの導入、経営者の交代、事業撤退等のリ スクや業務の変化等は会社が直面するリスクやコーポレートガバナンスに影響を及ぼす。いくつかの業務は恒久的なものでありいくつかの業務は一時的または定 期的なものであるかもしれない。例えば新規買収によるリスクは新しい組織ユニットが有効に設立されれば安定するかもしれない。またSOAの新しい報告、意 見表明要件をサポートするための内部統制プロセスの評価・文書化に関する集中的に時間を要する仕事は断続的な職務となるかもしれない。内部監査チームの力 と技術をこれらの変化に調整することができなければ内部監査資源を過大にまたは過小に使うことになる。

リスクこそが内部監査投資の第一義的影響・推進要因

内部監査機能の資源の確保にあったてはリスクが第一義的な決定要因であるべきである。効率的に実行され、定期的に更新され、適切に関係づけられたリスクア セスメントが内部監査プログラムの中枢であるべきであり、これが内部監査の配置・規模ならびに基本的な監査技術の推進力となる。リスクこそが求められる技 術や監査資源、監査業務の適時性と深さを決めることになる。大多数の会社がCOSOで示唆されているような適切で、定期的に更新されかつ広く議論されたリ スクアセスメントを行っていない。経営者や監査委員会において議論され、定期的に改定された主要なビジネスリスクのリストをいつも持っているべきである。 リスクとリスクアセスメントの精神は事業単位や事業プロセスに浸透されなければならない。このリスク要因の推進やプロセス・業務レベルでのリスクの取り扱 いは、SOA404条要件として重要なものである。新しい規定は会社により正確な結果報告や内部統制・ガバナンスの強化を要求しているので内部監査機能は 以前より重要なものとなっている。内部監査資源のレベルを会社にとっての優先順序の変動やビジネスリスクと効果的に見合うことにすることにより、より高い 期待へ応えることができる。

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