
2009年7月31日(金)コクヨホールにて開催いたしました環境経営セミナー2009には多数の方々のご参加をいただき、盛況のうちに終了することができましたこと、ここに厚くお礼申し上げます。各講演の内容をまとめたレポートを掲載いたしました。皆様の業務等にお役立ていただければ幸いでございます。
レポート
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気候安定化の科学と環境イノベーション策 | |
| 東京大学 生産技術研究所 教授 山本 良一氏 |
我々は、温暖化地獄の1丁目にいて、このままでは2050年までに5丁目に達する、と言える。ウィニー・ダイアーという学者が「気候戦争」という著書で述べているが、気候の悪化は水不足をもたらし、食糧戦争を引き起こす。
地球温暖化は、科学的に証明されている。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書によれば、それは「地球の平均温度」(1906~2005年で0.74[0.56~0.92]℃上昇)「海面水位」(1961年以降、年平均1.8[1.3~2.3]㎜、1993年以降、年当たり3.1[2.4~3.8]㎜の割合で上昇)及び「北半球の雪の占める面積」(1978年から10年当たり2.7%[2.1~3.3]%縮小、特に夏季の縮小は10年当たり7.4%[5.0~9.8]%と大きい)の変化からも明らかであり、また、現在の地球温暖化が人間活動に起因することも、5つの証拠(①20世紀後半の温暖化は外部放射強制力なしでは説明できない、②20世紀後半の温暖化は既知の自然の原因によるものでは決してない、③過去50年にわたる観測された地球温暖化の支配要因は温室効果ガスによる放射強制力であった、④20世紀前半の温暖化は部分的に外部強制力によるものである、⑤人為起源強制力による同時の対流圏温暖化と成層圏寒冷化が20世紀後半生じている)を示しており、この事実を覆すことは難しい。
気温上昇と環境影響の予測は、いくつかのシナリオが考えられるが、先日のラクイラ・サミットでは、国際社会が気候目標2℃を受け入れた。2℃シナリオは、科学的不確実さを考慮して、北極海氷が守れるかどうかのギリギリの所である。このシナリオでさえ実現には膨大な努力が必要だが、断じて実行しなければならず、選択の余地はない。
世界の温室効果ガス排出量は年間490億トン(CO2換算)で、米国と中国が40%を占めるが、日本の一人あたりのCO2排出量10.6トンは、イギリス、ドイツ、フランスと同程度であり、他国と比較して低炭素社会であるという訳ではない。日本人は地球温暖化に対する危機感が欠如している。日本は先ず、アジアを運命共同体と考えて、低炭素、循環、自然共生型社会作りに共同で取り組んではどうか。そのために「アジア環境経済フォーラム」の創設を提案する。
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欧州・中国における環境行政(現在と今後) | |
| 経済産業省 情報通信機器課 課長補佐 谷 浩氏 |
「グリーンニューディール」という用語は2008年7月、英国の財団が「グローバル経済が直面する、金融、気候変動、資源需給逼迫という3つの危機に対応するために『グリーンニューディール』を提言する。」という文脈で述べたものだが、世界的に普及し、米国、ドイツ、中国、韓国などの国々がこれに沿った政策を発表している。また、SCP(持続可能な消費と生産及び産業政策の行動計画)という考え方も2008年7月、欧州委員会が公表して以来、様々な取り組みがなされている。
カーボンフットプリント(商品のライフサイクル全般で排出された温室効果ガスをCO2に換算・表示したもの)は、消費者の排出意識の喚起し、消費活動及び事業活動を通じた温室効果ガス削減努力の促進を目的とするが、ISOにおける議論とともに、欧州を中心に様々なプロジェクトが進行中である。
欧州では現在、「一般製品安全指令(DMF規制)」「REACH規則」「RoHS指令」「電池指令」「ノルウェーPoHS」(注:RoHSのRはRestrictionに対し、PoHSのPはProhibition)など、環境法規制の制定・改訂が議論されている。 中国では、中国版RoHSである「電子情報製品汚染防止管理弁法案」が2007年3月に施行された。また、中国版Weeeが2011年1月に施行される。対象として、家電4品目、パソコンに加え、携帯電話、プリンター、コピー機の追加を検討中である。
| グローバル化学物質管理へ挑戦 ~アセスメントから態勢構築へ向けて~ |
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| プロティビティ ジャパン アソシエイト・ディレクタ 蛇抜信雄 |
最近の化学物質管理を巡るグローバルイニシアチブとして代表的なものはSAICM(国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ)である。これは2020年までに化学物質の製造と使用による人の健康と環境への悪影響の最小化を目指すものである。一方、北米のNAFTA連合では、既存物質の安全性の確保を目的としたChAMPがある。
また、化学物質管理を巡る動向としては、EUの「DMF(フマル酸ジメチル)の輸入禁止」「自動車のエアコンシステム冷媒、HFC-134aは2011年までに禁止」「DAT(三参化二アンチモン)をCLP規則から却下」、米国の「EDEEA(電子機器の環境設計法案、H.R.2420)」、「POPs(ストックホルム条約)新規9物質の追加」、中国の「REACH案のコンサルテーション」などがある。
企業を取り巻く化学品管理リスクとして大きいものは法規制不遵守であり、最近の事例としては、REACH及びRoHS違反の様々なケースがある。また、歴史的には、1976年イタリアの「セベソ事件」、1978年米国の「ラブカナル事件」、1984年インドの「ボパール事件」などが特に有名であり、こうした事件を契機に様々な法律の制定、改訂が行われてきた。
近年、製品ライフサイクルを対象とした規制が制定され、「部分最適から全体最適へ」「環境対策から環境経営へ」といった変化も起きている。これに対応するためには、自社の製品、環境経営の状況を的確に捉え、あるべき環境経営の業務基盤と情報基盤を確立し、中長期的な視点で、あるべき備えを実践することが必要である。
ナレッジ
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